「もちなが邸」を地元の人が集い、働き、交流する場へ・・
蒲生 芳子さん都城市
霧島の山ふもとで地元食材にこだわったそば屋『がまこう庵』を開業、夫婦で営む一方、環境や食に関する活動を実践。
豆と米が中心だった伝統的な日本食の大切さを伝える「豆米くらぶ」を設立し活動。
地域の歴史的な建造物を活用し、地元の人々が集い、働き、交流する場にしたいとNPO法人を設立。自分のできること、やりたいことをみんなで協力助け合いながら夢実現する場づくりを実践。
多忙ながらも自著の題名のように『ココロもカラダもキレイに☆いきいきべっぴんライフ』を送っています。
『NPO法人手仕事舎そうあい』の活動の基本
①邸内にある「そうあい農園」は、食農教育の場として、また乳幼児向けの相談を受け付ける「りんごの部屋」、小学校と連携した「放課後こども教室(見守りと学習)」など子育て支援事業
②地域住民が気軽に立ち寄れる「開かれた公民館」として、コンサートや映写会を企 画。毎月第4土曜日は、もちなが邸駐車場中庭にて「そうないべっぴんシェアの会(我が家の自慢のもの、食べきれないもの、自分の特技、技術などを持ち寄り、お互いにシェア(分け合う・物々交換)することを愉しむ会)」を開催
③女性や母親に個性ある暮らし方、生き方を伝え共感し、支え合える場・共生の場「べっぴん(別品)ライフ」としての活用
※ 平成28年度も開催中!お問い合わせは『もちなが邸』へ
環境や食に関する活動を実践してきましたが、ネットワーク『豆米くらぶ』を発足させることになったのは、平成20年1月に発生した中国製ギョーザ中毒事件でした。日本が食料の多くを海外からの輸入に頼ってしまっている現実を再認識し、「日本の食文化を守っていかなくちゃ。そして“農”とつながることが大切。農業の現場で米と豆がどうやって栽培されているかを多くの人に知ってほしい」という思いで活動を開始しました。
それからしばらくして、地域に明治時代から残されてきた建造物が売りに出されると知り、「地域の宝を失ってはいけない。みんなが集い、愉しみ、元気になる場として、人と人が繋がる場所として活用することこそ地域活性化につながるのでは」という思いが募り、建造物の購入、NPO法人設立とつながります。
夫婦で、若い頃宮崎県庁職員(農業改良普及員、生活改善普及員)として椎葉村に赴任し、色々なことを知り、学びました。そして椎葉の人々が自然の恵みを他の生きものとわかち合う自然観に心打たれ、椎葉の自然、四季の恵みに感謝しつつ、伝統を守り、知恵を伝承してゆく、そんな村人のくらしと自然が都会の人々に安らぎを与える“自然供給産業”として成り立つのではないかと考られたそうです。椎葉の一人の青年が発した『蒲生さんたちは公務員、任期が終われば椎葉を出ていく』という言葉に絶句、彼らにとっては自分たちは単なる通り抜けていく風・・・自分たちが商人となって、自然供給産業が成り立つことを証明するしかないという思いで公務員を退職。
大阪で修行し、喫茶店経営を経て、昭和49年都城市吉之元町に田舎そば屋『がまこう庵」を開店。紆余曲折を経て 「季節の野菜をつくり、旬の恵みをいただき、そこにあるものを食べる。人と土、風土は切り離せない“身土不二”。お店は日没閉店、そばは地ものにこだわり、ソバ殻で夢枕・・・」、約40年前、椎葉の山の中で学んだ暮らし方を実践することで、自然を生かし、自然の中で生かされていることを実感し続けたい。こうして本当の豊かさを求めています。現在お店は息子夫婦が引き継いでいます。
海外からの輸入に依存している日本人の食生活に危機感を募らせ、豆と米が中心だった伝統的な日本食に戻ることを広く呼び掛けようと考え、『豆米くらぶ』を仲間たちと設立。豆米の大切さを伝える出前講座や大豆やそばを栽培する農業体験などを実施。
「田舎暮らしを愉しむ講座」での役割は、料理の先生ではありません。企画運営するスタッフはもちろん、参加された会員と横のつながりをもち、教えるのではなく知恵を交換します。同じ食に携わる者として横につながっていく。お互いの経験を出し合って、失敗も含めて伝え合っていく。それが原点です。
数年前、住んでいる庄内地域に明治時代から残る建造物「持永邸」が売りに出されることを知りました。地域の宝を守っていきたいという思いが募り、ようやく残すことができました。庄内活性化協議会を立ち上げ、地域の人々が集い、働き、交流する場所づくりを担う『NPO法人手仕事舎そうあい』を設立しました。建物や歴史、文化の維持管理をしています。「持永邸」の維持管理費を賄うために、食と癒しの町家カフェ「もちなが邸」をオープン。地場農産物を使用した地場産品(みそ・納豆・豆腐など)の提供や安心安全な素材を調理するなど豆と米が中心だった伝統的な日本食を提供しています。
『もちなが邸』という場所が、性別にかかわらず子どもから高齢者まで、多様な年代の人が集い、多様な人がお互いを助け合いシェアし合える地域の拠点にしていきたい。
また食(豆や米)や農ある暮らしについて次世代の子どもたちに伝えていきたい。
自分らしく楽しむ。自分でこうだと思うことを信じる以外にない。自分を見失わないでほしい。これが希望です。
自分流に確信をもっていればいいということ。少々ではなく、出過ぎた杭は打たれないですよね。自分流の生き方に自信をもってほしい。
ネットワーク『豆米くらぶ』