すべての子どもに安心できる環境を。
原田 いくみさん面談可秋田、東京でデザイナーとして働く。結婚を機に宮崎に移住した後、不妊治療スタート。治療中の気持ちをブログに綴り書籍化。自己開示でつながり助け合えると知り、マイノリティの問題をSNSで発信。発達障害・ジェンダー・育児や働き方などを広く発信しながら地元でソーシャル活動を軸としたイベントを開催している。
子どもの頃から、興味のあることでないと続けられないという特性がありました。絵が好きなので、絵のことは考え続けられると、デザインを学び、就職しました。転職を繰り返しながらフリーランスになり、結婚して夫の実家のある延岡市に。夫の実家の会社の手伝いで事務の仕事をしているときに、体調を崩してしまいました。これまで合わないことは避けてきたので、できないことがあることに自分でも驚き、自信をなくしてしまいました。
休養中に「ぐうたらこ」の名前でブログを始め、妊活のことを発信しました。辛くて苦しくて、側にいる人には話せないことをここで吐き出しました。そしたら、日本中、世界中の人とつながることができたんです。これをまとめた本を出版しました。出版社に営業電話をかけたら、対応された方が偶然、ブログの読者だったというご縁です。これが成功体験になりました。
長女が生まれて子育てに専念していましたが、長女に発達障害の疑いがあり、診断を受けました。私自身、時間通りに動いたり、周りに合わせたりすることが難しい。そこで、長女が成長したときに役立つと思い、私も診断を受けました。私も発達障害でした。
同じ発達障害の人たちとTwitterでつながり、意気投合してイベントを開きました。その名も「発達障害ごきげんサミット」。みんながごきげんに生きている、生きられる、そんな社会になればと思っています。
子どものためにも、地元の皆さんに知ってもらいたいと思うようになりました。SNSやブログで2万人、3万人の人に発信することも大事ですが、社会を変えていくためには、目の前の人に直接話して、一緒に考えてもらうことがとても大切です。2020年からは本名を公表して啓発活動を行っています。
子どもの成長とともに、ジェンダーにも興味が湧いて、コロナ禍で話題になった「生理の貧困」のことを考えるようになりました。私は、高校時代まで、簡単には生理用品が手に入りませんでした。学校のトイレの個室に生理用品を置いてほしい。もっとオープンに話せるようにしたいと活動しています。生理の貧困問題解決や子どもの安心安全を守る団体「ハウリング」も立ち上げました。今は、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等なども含めた包括的性教育を広めるために働きかけています。
現在は「宮崎ソーシャルフェス実行委員会」の活動も行っています。NPO法人の理事やフードバンクの運営者、リユース制服を届ける活動をしている人などの横のつながりを作っています。それぞれは小さな力しか持っていないけれど、みんなで集まって大きな力に、という会です。
2022年の延岡市長選挙前には、若い世代の投票率UPを目指そうと、高校生が立候補者に直接質問するオンラインイベントを開催しました。
「宮崎ソーシャルシネマ上映会」も開きました。フードロスや紛争・難民問題、ジェンダー問題など社会課題がテーマの映画を鑑賞し、地域で同様の問題に取り組む方の話を聞き、ワークショップで考えを深めるという会です。
様々な活動に取り組む中で、ガールスカウトや大学生の国際ボランティアグループの方々とも知り合うことができました。
自分が楽しく生きることを大事にしてきましたが、娘が生まれたことで、社会の問題に目が向くようになりました。長女、長男と過ごしていると、成長とともにがんじ絡めの社会のジェンダーバイアス(性別に基づく偏見)に気づかされます。
例えば、ゲームの対戦で、長男は、私や長女に負けると泣く。でもパパに負けても笑っている。「どうして?」と聞くと、「パパは男だから。強いから」と答えるんです。
夫は長男に「男の子だから、女の子を守ってあげるように」と言います。でも「大変そうな人がいたら優しくしてあげてね」と伝えてほしい。家族でそういう話もしています。
ジェンダーバイアスに縛られない考え方は、子どもや家族で話すだけでなく、社会にも浸透させるよう変えていかないといけないと思います。これからも、私は発信、啓発を続けます。多くの人に知ってもらう、問題を感じてもらう。自分が問題だと感じることについて声を上げたり、発信したりする人が増えるといい。それができる社会にしていきたいと思っています。
どんな自分でありたいかを考えていると、おのずとやりたい活動や仕事の形が見えてくると思います。自信を持って進んで欲しいと思います。一人では難しいことも、仲間や応援者がいるときっと実現できます。具現化するためには、まずは口にすることです。私にも応援させてくださいね。
この方と直接会って、経験談やアドバイスを聞くことができます。