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紆余曲折を乗り越え、環境を大切にした自然生態系農業で安全安心な食材を提供しています。

早川 ゆりさん面談可
綾町 横町憩苑 代表 人権擁護委員  宮崎県農業経営指導士 宮崎県農業法人協会 理事

1990年に綾町に新規就農としてお世話になり以来30年に渡り一貫して安全安心な美味しい食べ物が食べたい、多くの人に食べていただきたいと言う思いで「自然生態系農業」(無農薬、無化学肥料で作物を育てる)を実践してまいりました。
この度、 令和3年4 月から娘夫婦に会社(有)シードカルチャー綾・早川農苑の理念と想いを継承してもらうことになり、今後、新しい形で発展していくものと確信しています。
会社の事業引継ぎも順調に終わり、自分の30年間の取り組みを顧みるなかで、農村社会の問題点に対して、地域での取り組みを通して活性化することが私のこれまでの経験をもとにできることであると確信しています。
人生100年まだまだ活動できると思い一念発起し綾町中心部の古民家を購入し、農村の自然、文化、農の体験、体感が出来る場所を提供し「自然生態系農業」とその農産物について消費者に正確に伝え、とりわけ安全で安心そして美味しい食べものの消費拡大を願っての活動をしていきたいと思っております。

この会社をおこしたきっかけを教えてください。

宮崎に来たのは高校生のころです。父の繊維会社が宮崎で工場を設立し、数年後に私と母も宮崎に来ました。その後、父はドライブインなども手掛け、農業資材の会社をおこしました。当初、私はそれを引き継いで農業資材、肥料などを販売していました。バブルの時代にのって、物は売れました。
私は農薬の管理指導士の資格を取りました。そして結婚、離婚を経て、幼い子ども2人と家族を守るほかないという気持ちで、がむしゃらに働きました。多くの農家さんとお付き合いする中で、私はそのときに自分が扱っていた劇物の農薬の被害をたくさん見ることになりました。そんな薬を野菜にかけていいのだろうか。形も色もきれいで高く売れる。消費者は何も知らないで買う。自分の中で矛盾が生まれてきて、その仕事はできなくなってしまいました。父に「農業がやりたい」と打ち明けましたが、ずっと反対されていました。最終的に背中を押してくれたのは二女でした。高校生のときに「農業をやりたい」と言ってくれたのです。

  • 1969年3月 学校法人東京技芸学校師範科卒業
  • 1969年4月 同校直系校専任講師として入社
  • 1977年3月 (株)新産業 代表取締役就任
  • 1990年4月 新規就農し有機農業(早川農苑)をスタート
  • 1992年2月 農業生産法人設立 (有)シードカルチャー 代表取締役就任
  • 2021年3月 (有)シードカルチャー 退任
  • 2021年4月 「横町憩苑」開設に向けて活動開始

農業を始めたころのことを教えてください。

最初は都農町で始めたのですが、事情があり別の場所を探すことになりました。綾町には「自然生態系農業の推進に関する条例」があると教えていただきましたが、まだ有機農業を始めている方はいませんでした。そこで、60アールの場所を借りて開墾からスタートしました。当時は「女性に農業なんかできるわけない」と言われました。
本気で生態系と向き合おうと思った事件があります。間もなく収穫を迎えると思っていたスイートコーンが、一夜のうちにイノシシにやられてしまったのです。あまりのことにそのまま畑にいたら、クマタカが来て、タヌキが来て、イノシシが食べた後にまた来る生物がいたんですね。そしてそこにいると、新緑のにおいや小鳥の声で、癒やされる自分がいたんです。スイートコーンが粉々になった畑に立って、大きな授業料を払ったけれど、イノシシも命がけで九州山脈を越えてきたのか、動物も一緒に生きているんだなと実感しました。3時間ぐらいのことだったのですが、自然を自分で体験しました。
残っていたスイートコーンをかじってみたら、生のままですごくおいしいんですよ。残りのスイートコーンを少しずつ取って、農業委員会の会長さんに持っていって食べてもらったら「あー、おいしいなぁ」って言ってもらえました。私は年に1回は、綾川荘でシシ鍋を食べます。農作物を食べたイノシシがおいしいお肉になり、そして、それをいただく私もいずれ亡くなります。その命の循環、これが生態系だと実感しました。

「綾町=有機農業の町」を定着させた功労者ですね。

受け入れられるのに10年かかりました。草だらけの畑を見て、こんな農業は恥さらしと言われたこともあります。しかしながら、有機農業のモデルを確立したことが認められ、2014年に宮崎日日新聞農業技術賞をいただきました。有機農業で表彰されたのは、県内で初めてだったそうです。町長も大変、喜んでくださいました。
今、考えると、私のわがままで進んできました。動機には不純なものはなかった。喜んでもらいたい、子どもや両親にいいものを食べさせたいという思いだけです。それのため全財産なくなりました。残ったのは土だけです。
父に言われたのは、「お前が選んだ道だから、どれだけ大変だろうと、環境を残すことと、後継者、思いのある人につなぐことをしなさい」ということです。食べものは、毎日、最高のものを食べています。それは一番ですね。

今後の展開として考えていることを教えてください。

年間を通して日本の伝統的な食文化を伝えていきたいと思います。七草がゆであれば、お正月で疲れた胃を休めることなど、一つ一つに意味があるんですね。私たちの歳でも知らないことが多いんですよ。それを知っている方にお願いして、生の声で伝えていきたいです。
伝統のほかにも季節の食ということで年間を通して行事を作っていきたいと思います。例えば母の日はカモミールが咲くころです。お花をプレゼントするのですが、健康な土でできたカモミールを一緒に摘んで花束にしたり、プランターに生けたりしています。花の中心の花粉が盛り上がってきたら、干して、瓶に入れてカモミールティーにすることもできます。安眠の効果がありますよね。おいしい野菜たっぷりのランチを食べていただきながら、家族で交流できて楽しいですよ。

これから社会に参画される女性の皆さんへのメッセージ

私は有機農業ですが、農に限らず、これからは女性の感性、アイデアが大きく社会に貢献していくと思います。皆さん、大きく羽ばたいてください。

綾町 横町憩苑

農業をはじめとした綾町の魅力を伝える拠点として、有機農業で作られた野菜などを販売し、宿泊施設も備えた「横町憩苑(いこいえん)」が同町南俣にオープンした。長年、農薬や化学肥料を使わない自然生態系農業を実践してきた早川ゆりさんが自宅近くの古民家を改修して開設。地域資源と人々をつなぐ「八百屋さん」をコンセプトに、地域活性化を図っている。

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